「昔の名作ドラマを見返したいのに、どこの配信サービスにもない」
そんな経験はないでしょうか。
『花より男子』
『銀狼怪奇ファイル』
『電車男』
たまに見返したくなること、ありますよね。
テレビ史に残るような名作なのに、配信サービスを探しても見つからない作品は意外とたくさんあります。
「権利関係が複雑だから」
という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
もちろんそれも理由の一つですが、実際に業界の中から見ると、もう少し具体的な事情があります。
今回は、テレビ局や映像ビジネスの現場で見てきた経験をもとに、
なぜ昔の名作ドラマは配信されないのか
について書いてみます。
結論から言うと、大きな理由は2つです。
- 制作当時、配信が存在しなかった
- 配信事業者が旧作をそこまで求めていない
順番に見ていきましょう。
理由① そもそも「配信する前提」で作られていない
今ではNetflixやU-NEXT、Amazon Prime Videoなどで作品を見るのが当たり前になりました。
しかし、20年〜30年前のドラマ制作時には、こうしたサービスは存在していませんでした。
そのため出演者や脚本家、監督などと交わす契約にも、
「配信」
という利用形態が含まれていないケースが少なくありません。
当時の契約は、
- テレビ放送
- ビデオ化
- DVD化
あたりを想定して結ばれていました。
つまり、今になって配信しようとすると、
「改めて権利処理を行う」
必要が出てくるのです。
出演者本人への確認。
所属事務所との交渉。出演者の中に引退している人がいれば交渉は個人と向き合うことになるので難航しますし、故人であればご遺族との交渉になる場合もあります(事務所の方針で過去作の配信に消極的、というケースもあります)。
音楽著作権の権利処理。
場合によっては契約条件の再整理。
出演者や関係者の不祥事によるお蔵入り。
乗り越えるべきハードルたくさんあります。
もちろん新作を作るほどではありません。
しかし、想像以上に手間がかかる作業になります。
連絡がつかない、なんてことも多々あるため、スケジュールをコントロールするのが難しい、そもそも最終的にすべてがクリアになって配信できるのかわからないままコストをかけなければならない、という事情もあります。
テレビ局からすると、
「倉庫から映像を取り出してアップロードすれば終わり」
という話ではないのです。
理由② 配信サービスは基本的に“新作”が欲しい
もう一つ大きな理由があります。
それは配信事業者側の事情です。
NetflixでもU-NEXTでもDisney+でもそうですが、彼らが本当に欲しいのは基本的に新作です。
なぜか。
新作には宣伝効果があるからです。
例えばドラマの放送後、
「スピンオフはFODで」
「全話見たければU-NEXTで」
と告知されることがあります。
これは非常に強力な宣伝になります。
地上波という巨大な広告枠で、
「この作品を見るにはこのサービス」
と宣伝できるからです。
一方で旧作にはその効果がありません。
どれだけ名作であっても、
- 地上波で大々的に告知されない
- 話題化しづらい
- 新規会員獲得につながりにくい
という特徴があります。
そのため配信事業者は、どうしても新作の方に予算を使いたがります。
結果として、
旧作にはそこまで高い値段が付きません。
テレビ局から見ると、
「権利処理の手間をかけた割に、あまり収益にならない」
という構造になってしまうのです。
実は映像そのものにも問題がある
さらに厄介なのが映像素材です。
昔のドラマの再放送を見ると、
画面の左右に黒い帯が入っていることがあります。
これは昔と今でテレビの画角が違うからです。
昔は4:3。
現在は16:9。
配信サービスによっては、
この古い画角のままでは扱いづらい場合があります。
すると、
- リマスター
- 画質補正
- データ化
といった追加作業が必要になります。
つまり、
権利処理だけでなく映像の整備にもコストがかかる。
ここでもまた「お金と手間」が発生するわけです。
だったら、新作を作る方にリソースをかけたくなってしまう、という事情があります。
それでも最近は少しずつ状況が変わっている
とはいえ、最近は少し流れが変わってきています。
テレビ局各社も広告収入だけに頼れなくなり、
過去作品を資産として活用する動きが強まっています。
そのため以前なら埋もれていた作品が、
突然配信に登場することもあります。
「どうせ見られないだろう」
と思っていた作品が配信されることも珍しくありません。
だからこそ、
見たい作品が配信されたときは見ておくのがおすすめです。
いつまで配信されるか分からないですし、思ったほど再生が回らなかったら契約が更新されずに
配信が終了になることも…
おわりに
「名作なんだから配信すればいいのに」
と思うことがあります。
実際、僕もそう思います。
ただ中を見てみると、
- 権利処理
- 配信事業者の事情
- 映像素材の問題
など、意外と現実的なハードルが存在しています。
名作ドラマが配信されないのは単純に、
「手間と収益のバランスが合わない」
ことが多いのです。
もし好きな旧作が配信されたら、ぜひその機会を逃さず見てみてください。
配信されていないけど再放送があった、なんて場合は再放送をSNSでつぶやくなど、盛り上げてあげると、
テレビ局側も採算が取れると判断したり、配信事業者側「配信しよう!」と思うかもしれません。
思い出の作品への愛は、秘めておかずに積極的に発信してみてるのがいいのかもしれません。

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