『バイオハザード』の映画が、またやってくる。

実写映画だけでも、これまでにいくつもの作品が作られてきた。
ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の実写シリーズ。
原作ゲームへの忠実度を高めようとした『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』。
そしてゲームの世界をそのまま舞台にしたCG映画シリーズ。
もう十分だろ。
そう思わなくもない。
ところが、今回の新作はちょっと面白い。
まだ本編を見ていないので、作品そのものについての評価はできない。
ただ、公開前の情報を見る限り、
「マジ面白そう」
と思わせるコンセプトになっている。
※この記事は映画本編を鑑賞する前に、公開情報をもとに「企画」と「コンセプト」について書いた記事です。映画そのものの評価ではありません。
これまでのバイオハザードの映画化
今回の『バイオハザード』がやろうとしているのは、
「バイオハザードを映画化する」
だけではない。
「バイオハザードの世界に、もし“ただの一般人”が放り込まれたらどうなる?」
という遊びだ。
このコンセプトがやたらワクワクする。
『バイオハザード』、実は映画化のたびに違うことをやっている
まず、これまでの映画をざっくり振り返ってみたい。
ミラジョボ版シリーズ
ミラ・ジョヴォヴィッチ主演のシリーズは、
ゲームの登場人物やクリーチャーを借りながらも、かなり大胆にオリジナル路線へ進んだ。
主人公のミラジョボ演じるアリスは映画オリジナルキャラクター。
物語もゲームとは別の方向へ進み、かなりアクション映画。
「ゲームをそのまま映画にする」というより、
『バイオハザード』という名前とキャラクターを使って、新しい映画を作る。
そんな作品だったと思う。
そして面白いのが、その映画からゲームへの逆輸入も起きたことだ。
有名なのがレーザートラップ。
映画で登場した演出が、ゲーム側にも取り入れられた。「4」ではレオンが、「アンブレラクロニクルズ」ではクリスとジルが、「RE4」ではエイダがレーザートラップを掻い潜る。
映画とゲームがお互いに影響し合う。
これはこれで、長く続くIPならではの面白さだ。
一方、「原作に忠実にしよう」とした作品もある
忠実に作ろうとした『ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』
その後に作られたのが、
『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』。
こちらは、かなり明確に原作ゲームの世界観へ寄せようとした作品だった。
監督自身も原作ゲームのファンであり、「RE2」の雨のそぼふるラクーンシティを表現したと語っている。
ラクーンシティ、クリス、ジル、レオン、クレア……。
ゲームファンが知っている要素を、できるだけ映画の中に持ってくる。
これも一つの映像化の方法だ。
「原作を忠実に映像化する」
という方法。
一方、CG映画シリーズはさらに違う。
ゲームの世界の物語のCG映画シリーズ
ゲーム本編と同じ世界で、
「ゲームでは描かれていない事件が、この時期に起きていました」
という形で物語を作る。
レオンやクリスといったゲームのキャラクターを使いながら、ゲーム本編の“隙間”を映画で埋めていく。
ファンムービー的な側面もあって、私のようなバイオファンはかなり燃える。映画としてもかなり面白くて、今まで上げた3種類の内では、
個人的には一番楽しめた。(特に良かったのは「ヴェンデッタ」。ぶっ飛んでてかなり良かった)
まだ見ぬ4パターン目が今回の新作
そして今回、「世界観で遊ぶ」
では、今回の映画は何をするのか。
今回の監督は『Weapons/ウエポンズ』などを手掛けたザック・クレガー。疾走感と、展開の爆発力が魅力のクリエイターだ。
『Weapons/ウエポンズ』は面白ので、みんな見よう。
そして今回のコンセプトは、
「ラクーンシティに、もし自分のような貧弱な一般人が巻き込まれたら?」
というものだという。
バイオハザードのゲーム主人公だって、設定上は「一般人」に近い人物がいる。
新人警官のレオン。
女子大生のクレア。
ただし、
「新人警官だけど銃の扱いには慣れています」
「女子大生だけど兄が特殊部隊なので重火器も扱えます」
みたいなことになっている。
いや、それはもう普通の一般人ではない。(小声)
グレネードランチャーを撃てる女子大生がどこの世界にいるんだ。
もちろん、それが『バイオハザード』の面白さでもある。ゲーム的にはそれが大正解。最高に面白い。
プレイヤーが操作するキャラクターだから、ゾンビが襲ってきたら戦う。
銃を撃つ。
走る。
謎を解く。
クリーチャーを倒す。
でも、
「本当に何の能力もない人間がラクーンシティに放り込まれたら?」
と考えたら、話が変わる。
銃を構えても当たらない。
敵が来たら戦うより逃げる。
叫ぶ。
とにかく逃げる。
この発想から生まれる『バイオハザード』は、今までの作品とはかなり違うものになる。
これこそ「世界観を使った企画」なんじゃないか
今回の映画で一番面白い部分だと思う。
新しい映像化のスタイル
映像化というと、
「原作の物語を映像にする」
という発想になりやすい。
もちろん、それも一つの方法だ。
でもIPが巨大になればなるほど、
「その世界観を使って、何ができるか」
という発想ができるようになる。
今回の『バイオハザード』は、
「バイオハザードの新しい物語を作ります」
だけではない。
「バイオハザードの世界に、こういう人間を放り込んでみました」
なのだ。
これは企画として非常に分かりやすい。
「もし○○が入ったら?」は、いくらでも作れる
この発想、バイオハザードに限らない。
例えば、
「サイレントヒルにYouTuberが入ったら?」
でもいい。
「エルデンリングの世界に、絶対に戦いたくない一般人が入ったら?」
でもいい。
「メタルギアの世界に、戦う気が一切ないサラリーマンが入ったら?(ブラックラグーン的な…)」
でもいい。
世界観そのものを変える必要はない。
世界はそのまま。そこに入れる人間を変える。
すると、同じ世界観でも全く違う物語が生まれる。まぁ今回は厳密には同じ世界観ではないが、ラクーンシティがあってゾンビがいて、という意味での「同じ世界観」だ。
これが「IPを使った企画」の面白さなんじゃないかと思う。
似たコンセプトのシリーズ作
実は『バイオハザード』には、似た発想のゲームもある
もちろん、この発想が完全な新発明というわけではない。
ゲームには『バイオハザード アウトブレイク』という傑作が2本ある。
マジで傑作のOPムービー。当時100回は見た。
こちらも一般人たちがラクーンシティの事件に巻き込まれるという設定だった。
警官や医師など、それぞれ異なる能力を持った市民たちが、生き残るために戦う。
だから、
「一般人がバイオハザードの世界に入ったら」
という発想自体には、ゲーム側にも先例がある。
ただ、今回の映画が面白いのは、
「じゃあ映画でそれを徹底的にやったらどうなる?」
というところだ。
ゲームではプレイヤーが操作する。
映画では、主人公がどうにもならない状況に放り込まれる。
その違いを使って、
「戦えない」
「逃げるしかない」
という恐怖そのものを映画の面白さにする。
ここまで行くと、同じ「バイオハザード」でもかなり違う作品になる。
IP映像化には、いろんな正解がある
こうして並べてみると面白い。
ミラ・ジョヴォヴィッチ版は、
『バイオハザード』の名前と要素を使って、新しい物語を作る。
『ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』は、
原作ゲームの世界観をできるだけ忠実に再現する。
CG映画シリーズは、
ゲーム本編とゲーム本編の間に、新しい事件を作る。
そして今回の作品は、
『バイオハザード』の世界に、別の視点を持った人間を放り込む。
全部、「バイオハザードの映画化」だ。
でも、企画の考え方は全然違う。
だからIPものは面白い。
「続編を作る」だけがIPビジネスじゃない
IPが大きくなると、
「次は何を作る?」
という問いが必ず出てくる。
続編。
前日譚。
スピンオフ。
別主人公。
リメイク。
実写化。
アニメ化。
いろんな方法がある。
その中で今回のように、
「この世界観に、今までとは違う人間を入れてみよう」
という考え方が出てくる。
これは、IPを「物語」ではなく、
「遊べる世界」
として捉えているように思う。
世界観がしっかりしているからこそ、
そこに新しいキャラクターや視点を入れても成立する。
むしろ、
「この世界でこんなことをしたら面白いんじゃないか」
という遊びができる。
IPの強さって、こういうところにもあるんじゃないだろうか。
まだ映画は見ていない。だからこそ楽しみ
ここまで偉そうに語っておいて、僕はまだ本編を見ていない。
なので、映画そのものが面白いかどうかはまだ分からない。
ただ、公開前の段階で、
「この企画、面白いな」
と思わせてくれる。
これはかなり大事なことだと思う。
作品を見る前から、
「どうなるんだろう?」
と思わせてくれる。
そして、その「どうなるんだろう?」が、
「バイオハザードだから」
ではなく、
「このコンセプトだから」
生まれている。
そこが今回の映画に期待している理由だ。
まとめ:「世界観を借りる」のではなく、「世界観で遊ぶ」
映像化の企画には、いろんな方法がある。
原作を忠実に再現する。
新しい物語を作る。
本編の隙間を埋める。
そして、
世界観を使って、全く違う遊びをする。
今回の『バイオハザード』は、少なくとも企画段階では、この「遊び」がものすごく面白い。
『バイオハザード』という世界がある。
そこに、
「もし、何の特殊能力もない一般人が放り込まれたら?」
という問いを置く。
たったそれだけで、
「銃、当たらないんだろうな」
「逃げるしかないよな」
「絶対怖いだろ」
と想像が膨らむ。
これが企画の力なんだと思う。
そして、こういう企画を見ると、
「IPを映像化する」というのは、原作を再現することだけじゃないんだな
と改めて思う。
その世界で、
「何をしたら面白い?」
と考える。
その答えが面白ければ、まだまだ同じIPから新しい作品を作れる。
『バイオハザード』は、もう何度も映画になっている。
それでもまだ、
「こんなバイオハザードが見たかった」
と思わせる企画が出てくる。
それが、巨大IPの面白さなのかもしれない。
さて。
この「貧弱な一般人がラクーンシティに放り込まれる」という企画。
本編では、果たしてどこまで面白くなっているのか。
これは映画を見てから、もう一度答え合わせをしたい。
ああ、マジで公開が待ちきれない。





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