なぜドラマは時事ネタに強く、アニメは世界観が強いのか

「ドラマは今っぽい。」

「アニメは世界観がすごい。」

なんとなくそんな印象を持っている人は多いと思う。

でも、それにはちゃんと理由がある。

制作期間がまるで違うからだ。

今回はドラマとアニメ、それぞれの制作スケジュールから見えてくる”得意分野”について書いてみたい。


ドラマは驚くほど制作期間が短い

テレビドラマは意外なくらい制作期間が短い。

作品にもよるけれど、

脚本がある程度まとまってから撮影に入り、そのまま編集して放送まで走り切る。

全体では半年程度、場合によってはもっと短いこともある。

放送数日前まで編集して、

ギリギリで納品。

そんなスケジュールも珍しくない。

現場は本当に慌ただしい。


だから「今」を描くのがうまい

制作期間が短い最大のメリットは、

社会の空気を作品へ取り込めること。

流行。

ニュース。

価値観。

世の中の変化。

それらを比較的新しい状態で作品へ反映できる。

例えば最近は、

海外で日本ドラマが人気になったことから、

ヒット作の続編をかなり早いタイミングで制作するケースも増えてきた。

「人気が出た。」

「じゃあ続編を作ろう。」

このスピード感は、

ドラマならではだと思う。


一方、アニメは2〜3年かかる

対してアニメ。

こちらは企画から放送まで、

2〜3年かかることが珍しくない。

企画を立てる。

設定を作る。

脚本を書く。

コンテを描く。

キャラクターを動かす。

彩色。

撮影。

編集。

アフレコ。

音楽。

工程がとにかく多い。

一つひとつ積み上げて、

ようやく一本の作品になる。


実は「アフレコ」は絵ができてから

「アフレコ」という言葉は、

アフター・レコーディングの略。

本来は映像ができた後に収録する。

だから理想を言えば、

役者さんは完成した映像を見ながら芝居を付けられる。

表情。

動き。

呼吸。

細かなニュアンスまで演技へ反映できる。

ところが制作が押すと、

そうもいかない。


コンテだけで演技することもある

スケジュールが厳しい作品では、

まだ絵が完成していない。

色も付いていない。

動きもない。

そんな状態で収録することもある。

画面にはコンテだけ。

キャラクター名だけ。

そこへ声優さんが演技を乗せる。

毎回思う。

本当にすごい。

逆に、映像がかなり完成した状態でアフレコできる作品は、

声優さんからも

「芝居が付けやすい」

という話を聞くことがある。

映像と演技が噛み合うことで、

作品全体の立体感も増していく。


制作期間が長いからこその難しさ

一方で、

2〜3年前に企画した作品を放送するということは、

世の中が変わっていることも多い。

例えば、

SNSの使われ方。

スマートフォン。

生成AI。

企画時には存在しなかった文化が、

放送時には当たり前になっていることもある。

だからオリジナルアニメで

「現代」を描くのは意外と難しい。

社会の変化が速い時代ほど、

その難しさは大きくなる。


だからアニメは「世界」を作るのが強い

でも、

これは弱点でもある一方、

最大の強みでもある。

制作期間が長いということは、

映像のすべてを設計できるということだから。

背景。

色彩。

カメラワーク。

キャラクターの動き。

現実では撮れない画。

現実には存在しない世界。

全部コントロールできる。

だからアニメは、

「今」を切り取るというより、

一つの世界を作ることに圧倒的に向いている。


最近はアニメも少し変わってきた

とはいえ、

最近は海外展開が当たり前になった。

海外配信では、

放送より前に納品しなければならないケースも増えている。

そのため、

以前より制作スケジュールを前倒しする作品も少しずつ増えてきた。

もちろん、

ギリギリまで粘る現場もある。

これは作品によって本当にさまざまだ。


結局、制作期間が作品の個性を作っている

ドラマは、

短い制作期間だからこそ、

社会の空気を敏感に取り込める。

アニメは、

長い制作期間だからこそ、

世界そのものを設計できる。

どちらが優れているという話ではない。

制作期間が違うから、得意なことも違う。

そんな視点で見ると、

同じ映像作品でも、

また違った面白さが見えてくると思う。

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