炎上商法は本当に効果がある?エンタメ業界の視点で考える

映画やドラマ、アニメやバラエティが炎上すると、

「話題作りのために、わざと炎上させているのでは?」

という声を見かけることがあります。

確かに炎上すると、多くの人の目には触れます。

では、それは本当にビジネスとしてプラスなのでしょうか。

この記事では、配信ビジネスやコンテンツ営業に携わった経験を踏まえながら、「認知」「視聴意欲」「配信ビジネス」という3つの視点から考えてみます。

結論から言うと、
炎上をビジネス的にプラスにするのはかなり難しいです。

目次

炎上すると「認知」は確かに広がる

まず、炎上すると作品名がSNSで拡散され、多くの人の目に触れます。

マーケティングで言えば、「認知」は広がると言えるでしょう。

ただし、作品にとって重要なのは認知だけではありません。

最終的には、

「見てみたい」

と思ってもらうことが大切です。

”知ってる(認知度)”と”見たい(視聴意欲)”は別物

ここが意外と重要なポイントです。

炎上で広がる話題は、多くの場合ネガティブな内容です。

すると、

「そんな作品なら見なくていいかな」

という印象を持つ人も一定数出てきます。

つまり、

”知ってる”人(認知度)は増えても、”見たいという気持ち”(視聴意欲)まで高まるとは限りません。

作品の視聴数=認知度×意欲度 です。

簡単に言うと

1億の国民の半分が知っている(=認知度50%) ✖︎ 知ってる人の半分が見たいと思う(=意欲度50%) =国民の中で見る人は全体の2500万人

と言うことです。

2500万人が見るコンテンツ、なんでしょうね…紅白…?駅伝…?

もちろん作品がおもしろければ評価が覆ることもありますが、ネガティブな第一印象を後からひっくり返すには、かなり大がかりなポジディブ要素と口コミが必要になることもあります。

配信ビジネスでもプラスとは言い切れない

私がこれまで見聞きしてきた範囲では、炎上が営業面でプラスになるケースはあまり多くありません。

配信サービスは作品の話題性だけでなく、

* 長く見られるか
* ブランドに合うか
* 会員獲得につながるか

といった点も重視します。

そのため、ネガティブな話題が大きくなった作品については、営業や価格交渉の場で慎重に見られるケースもあります。

もちろん契約や作品によって事情は異なりますが、炎上がそのまま価値の向上につながるとは考えにくいでしょう。

広告付き配信の類だと、炎上した回からは広告主が撤退するケースもあります。

そんなケースだと、いよいよビジネスとして成立しません。

再生数は一時的に伸びるが…

一方で、

「炎上したから一度見てみよう」

という人が増え、一時的に再生数が伸びることはあります。

ですが、基本的に炎上した作品の再生数は継続しません。

炎上したバラエティがTVerランキング1位に1週間君臨したが、
次の放送回はランキング上位にすら上がってこない

なんて事例はたくさんあります。

ある日のTVerのバラエティランキング。今日は炎上してる番組はない…かな…?

ただ、業界では一般的に、一度だけの話題で終わる作品よりも、

「面白そう」

「この回は見てみたい」

というポジティブな口コミで伸びた作品のほうが、その後も視聴が続きやすい傾向があります(実際、そういうデータもあります)。

ポジディブな注目は興味が持続しやすいけれど、
ネガティブな注目は興味が持続しないんです。

「人」に有害

数字以上に大きいのが、人への影響です。

作品が炎上すると、

* 俳優
* 声優
* 監督
* プロデューサー
* スタッフ

など、作品に関わった人たちへ批判が向かうことがあります。

作品への批判だけで終わらず、個人への誹謗中傷へ発展してしまうケースも少なくありません。

近年は、SNSでの誹謗中傷が社会問題として取り上げられることも増えています。

だからこそ、現場としては「炎上すれば話題になる」という考え方ではなく、できる限り作品そのものの魅力で評価されることを目指しているケースがほとんどだと私は感じています。

私の作品も炎上した時はかなり消耗しました(小声)

まとめ:炎上を活かすのは難しい。というか普通は無理

炎上によって認知が広がることはあります。
それをチャンスに変えられることを「手腕」と呼びますが、
とはいえ大きな逆風であることは事実。

具体的には…
* 視聴意欲が高まりづらくなる
* 営業やブランドイメージへの影響もある
* 関係者への負担が大きい
* 広告ビジネスなら広告主の撤退リスクも

ということを考えると、「炎上したほうが得」というほど単純な話ではありません。

エンタメは、長く愛されてこそ価値が生まれるビジネスです。

だからこそ、一時的な話題よりも、「面白かった」というポジティブな口コミのほうが、結果的には大きな力になっていくのです。

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